なごんのエンタメ

面白い小説や、映画について書いています。

横尾忠則『言葉を離れる』感想。文章が素敵! いい!

そこそこいいエッセイ集ですが、ちょっと読みにくい。
私には難しかったです。

はじめの20ページくらいまでは「なんだこの読みにくい文章は」「いやあ、退屈だなあ」と思ってました。

ですがさらに読み進めると、ググ、グググーーー! と横尾忠則の世界に引き込まれ、うっとりさせられました。

読みにくいとこもありますが、素敵な文章なんです。優しいような、なんというか、幻想的というか、いい感じの文章なんですよ。

後半はそんなに好きじゃなかったし、途中は「ふん! ただの自慢話じゃないか!」なんて、横尾さんの華々しい経歴にムッとしたりもしました。

でも絵画について語ったとこなど、「素敵だな」と思う箇所が多々ありました。


概要

簡単に説明すれば「横尾忠則の自伝」的な内容で「私は全然本を読んでこなかった。だがかわりに絵画から無数のものを得てきた」と、こんな感じの内容です。

ちょっと『言葉を離れる』から引用してみましょう。

ピカソも読書にはそれほど興味がなかったようです。だけどフェリーニもウォーホルもピカソも、実にユニークで知的な作品を作ります」

とあります。続いて

「多くの知識人が読書によって自己が形成され、読書こそ人生の目的、人生そのものであると手放しで読書の重要性、功徳を説いています。

では読書と無縁に生きた前記の芸術家達の人格は一体どこで何によって形成され教養を得たのでしょうか。ぼくが興味を抱く点はここにあります」

横尾さん自身も、45歳辺りから読書に興味を持ったようです。

でもそれでも全然よかったよ。
いっぱい面白い人にあったもん、と。

ちょっと読みにくいですが、引用するので読んでみてください。素敵ですよ。

「このようなことを思う時、ぼくは多くの人から読書では得られない非常に貴重な体験を得たように思います。

 

そしてこの得難い体験はぼくの無意識の蔵にきちんと整理されて保管され、ぼくが創造の現場に立った時、または人生の岐路に立った時、霧の中からその全貌を現してくれるように思うのです」

詩みたい。素敵。


好きなところ

正直、どこが好きって、ぱっと言えないんですよね。文章が好き!

独特の文章で、魅力的な世界観を見事に作り上げていると思います。

あと文の前半は「、」があるのに、後半はなくて一気に言う感じ、っていうのかな、それが好きでした。

ちょっと引用してみます。

「普通はどんな目的で読書に親しむのか知りませんが、読書の興味に乏しかったぼくからすれば、どうしてあんなに時間の食われる作業に没頭するのか、

 

面倒臭がり屋のぼくのような性急な性格は本来読書に向いておらず、読書に搦め捕られる時間のことを考えると勿体無いと思っていたのです」

この続きの文章が本当に素敵だと思います。

「人間の眼はあんな抽象的な記号の行列の上を滑らすためにあるのではなく、もっとこの世の美しいものを眺めるために神が与えたもので、

 

そのために肉体が存在しているんですから、

 

他人が見たり聞いたり考えたことに依存などしないで自分の眼と足で自由に出かけて行って他人が読書で経験した以上の成果を自らの肉体に移植させた方がずっといいんじゃないでしょうかというのが四十五歳になるまでのぼくの愚考でもありました」

確かにと納得できる感じと、読書ばかりな人に対する警鐘的意味もあり、なにより素敵な文章です。


また「本を読むことだけが勉強じゃない」と、こう言うとつまらない意見に聞こえますが、絵を模写することからもいっぱい学んだよ、なんてことも言っています。

「模写によって何を得たか? それは観察する技術です。目を通して事物を見るというのは、すでに観察行為なのです」

この続きが画家らしい。

「ぼくは人と話していても相手の顔の造作を隅々まで観察し、脳内の見えないキャンバスにその顔の形を移植する習慣がいつの間にかできてしまっているので、物を見ることと書くことを同時に行っています。

具体的に絵を描かなくても頭というか心のなかに観察した対象を幻の絵として内蔵させているつもりです。

だから見ること一瞬一瞬が絵の制作だと言えます」

 

かっこいい!
美術に憑りつかれたい! と思ってしまいます。
すごいなあ、一流の絵かきは。

「真似ることと学ぶことが同意語とすれば森羅万象が学びの対象、つまり読書ということにならないでしょうか」

 

FU--! 言うことがかっこいいぜ。

また運命についても書いていますが、その辺りはそんなに好きじゃないですね。


また「買書の心得」、p67になるんですが、そこではこんなことを言っています。(買書は本を買いはするが、読まないことです)
ここすごく好きですので、引用します。読んでみてください。

「ぼくの趣味は読書ではなく買書だとはたびたび言ってきました。ところが買書も一種の読書ではないかと思うのです。

読むだけが読書ではなく料金を払って所有することでその本のイメージを買ったのです。

買うという行為を通さなければ、読書の入口に到達したことにならないのです。本を手に取って装幀を眺めたり、カバーを取りはずしたり、開いた頁の活字に目を落としたり、時には匂いをかいだり、重量を感じたり、目次とあとがきと巻末の広告ぐらいは読みます。

そして本棚に立て、ほかの本との関係性を楽しんだり、その位置を換えてみたりしながらその本を肉体化することで本に愛情を傾けていきます。

ぼくにはこうした本に対するフェティシズムがあります。わが本棚には数え切れないほどの本が読まれないまま長年眠っています。そんな本の背を読んだり、位置を取り替えたりしながら、目垢をつけることで本の物質感を堪能するのです」

 
フフ、なんだかいいでしょう。
可愛いんですよ、この人の書く文章も、内容も。幻想的っぽいものも感じるんですが、私だけでしょうか。

最初から最後まで面白い、とは思いませんでした。
途中、ニューヨークの美術館に作品が展示されたとか、あと三島由紀夫とのエピソードとか、色々出てきますが、そのあたりはつまらないです。

というか、中盤は、ほとんど自慢話に聞こえ、とりえのない自分はただムッとしていました。

難易度:☆4つ

面白さ:☆3つ

って感じでしょうか?

 

ある程度本を読んでいれば、私よりももっと楽しめて、十二分に彼の世界に浸れるかもしれません。

文学的教養がもっとあればなあ……。

溝口健二『雨月物語』レビュー。見返すと全然別物だった


同じ映画を二回見る、ってことはあんまりありません。だってHuluとかある現在、どんどん新しいのが見れるじゃないですか。

ですが先月、溝口健二の『雨月物語』とヒッチコックの『めまい』を見返しました。

また最近は『シンデレラ・リバティー/かぎりなき愛』を見返しています。

なんでかってことなんですが、『雨月物語』と『めまい』は、「世界の批評家が選ぶ偉大な映画50選」ってランキングで、上位にランクインしている、と知ったからでした。

「あれ? この二作って、そんなにすごかったっけ?」と思い見返したんです。

まだ映画を見始めて間もない二十二、三のころに見た雨月物語は「うん、悪くないじゃん」って感じでした。

ですがそれから六年後、雨月物語は全然別の作品になっていました。

映画見はじめだったあの頃は白黒映画ってだけで「うわー……やだなあ」なんて思ってましたよ。
でも、雨月物語、めちゃめちゃ美しい!
あとすげえ怖いじゃん!

すごく引き込まれますよね。
始まってすぐ、別のこと考えてても、視聴者を、グイ―――――って引き込む。美しい。怖い。すごい映画ですよ。

ただストーリーにもっとひねりが欲しいなぁと思ってしまう。なんつうか、ありきたりって言ったらあれですが……。

でもすごい映画。
雨月物語では、序盤がすごく好きです。美しさと怖さが見事に表現されていますよね!

また陶芸をやってる主人公と奥さんたちが、船で河をわたるシーンがあります。
霧が立ち込めるなか、船をこぐあのシーン、怖くて、美しい。
すごくいい。いつまでも見ていたいくらいです。

正直、カラー映画より白黒映画のほうが美しいんじゃないかな、なんて思ってしまう。

またちょっと感動する部分もあります。
奥さんが、金を儲けよう儲けようという陶芸家に、「私は今のままで満足です。あなただけいてくれれば」みたいな、そういうことを言うんです。
そんなところには感動してしまいます。

 

ただ雨月物語、素晴らしいんですが、途中で眠気を感じる……。
私がまだまだなせいでしょう。

どんな面白い映画でも、けっこう眠くなっちゃうんですよねw
映画館には本当に向いてません。

ヒッチコックの『めまい』も、22,3のときに見ました。
あのときは「は?」って感じでした。

 

ですがそれから6年後……。

うーん……。そんなにすごいかな?

確かに、あのころとは別の作品でした。
あのとき見えてなかったものが、ちゃんと見えるようになりました。

たとえば映像がきれい。
それから、ズームアウトの気持ち悪さ。
めまいを感じます。
あれは気持ち悪い。
地面が映って、そこからズームアウト、だんだん地面が遠ざかっていく……あの気持ち悪さ。

映画見て「うっ、酔いそう」と思ったのは初めてです。

それに後半、衣装を次々に着せて行くあのシーン、怖かったですよ。
でもストーリーがなあ。

以下ネタバレになりますので白い文字にしますが。

あれだけの計画を立てたのに、なんであの女は近所をうろついてたの? と思ってしまう。
そこに違和感があるんですよ。
職場や大学の都合? なのかもしれない。

それに仕組んだ男は外国。だからOKなのかもしれない。

でも、そのあたりずさんじゃないかなあ、と思ってしまう。
偶然街で見つける、ってのも、ご都合主義じゃないかなあ。

映像はきれいだし、酔いそうだし、怖いなって部分もある。
でもストーリーがひどい気がするんですよね。

いい映画だなとは思いますけどね。

とにかく、『雨月物語』も『めまい』も、22のときと、28のいま見るのでは、まったく別の作品でした。

雨月物語』は想像以上に面白かった。すごかった! また見返すかもしれない。Huluなんかがある時代に、自分が何回も同じ映画を見直すとは思わなかったです。

ふと、あの映画はどうだったんだろう、と思うんですよ。
たとえばゴッドファーザー

当時、「ほう。まあまあ面白いじゃん」って思いました。ただあれから、6年たってるんですよね。

見返したら、めちゃめちゃ面白くなってるんじゃないかな。
うーん、次はゴッドファーザーを見てみようかな。

感動あり!キュンキュンあり! おすすめ恋愛映画7作を語る


恋愛映画の傑作を7作紹介。個人的な感想を、徹底的に語りたいと思います!

恋愛映画は幅が広く、男性女性だけじゃなくて、男性男性、女性女性の恋愛もあります。また恋愛のみではなくて、恋愛×ミステリー映画とか、恋愛×戦争映画という組み合わせも……。

ですので、ただの恋愛ものだけにとどまらず、幅広く取り上げていきます。


アメリ

難しさ:☆☆
面白さ:☆☆☆☆☆

キュートでポップな恋愛映画の名作。
引っ込み思案で、ちょっと変わってる女の子の恋愛に、にやにやしっぱなしです。

 

あらすじ

 フランスのパリ。
 アメリは、その一区画、モンマルトルのカフェで働いています。
 アメリは引っ込み思案で、人と話すのが超苦手。いたずら好きで、妄想好き。

 そんなアメリ、「人を幸せにするいたずら」にめざめ、毎日にやにやいたずらばかり。

 ですがあるとき、ニノという青年に恋をしますが、いたずらを仕掛けるばかりで……。


アメリの感想

アメリがかわいくてかわいくて、しょうがないです。独特のナレーションの使い方も悪くないし、何よりアメリのいたずらがいい!

特に序盤のいたずらが好き。
タイムカプセルを発見するんです。それには、少年が、自分の好きなものをいっぱい詰め込んでいました。

アメリがそれを、「すでに大人になった人に返そう」と考え、暗躍を始めます……。

また終盤、元気のないお父さんを元気づけるため、庭の人形を使っていたずらを始めます。これも最高ですね。

失敗するいたずらもありますが、人を幸せにするいたずらばっかりなんです。いたずら映画、とも言えるかもしれません。

アメリ自身のちょっとした設定もいい。
たとえば、店に売ってる豆のなかに、指を突っ込むと、ひんやりしてていいとか。水切りが好きとか。

映画館に行って、映画はみず、それを見ている客の顔を見るのが好きとか。

またちょっとミステリーっぽい部分もあります。

小学生や中学生には、まだこの面白さはわからないかもしれません。ですが映画好きで見ない人がいたら、即見てほしい一作です。

ただ、個人的には、あのラストはなあ……とおもいました。

茶店の女の人と、録音男の結末からのあのエンディングには、ちょっと違和感が……。皆さんはどう思うでしょうか。

スタッフ

監督はジャン=ピエール・ジュネ
アメリに感動し、この監督の『ロング・エンゲージメント』を見ましたが、これは駄作でした。

ただジャン=ピエール・ジュネは、現代フランスを代表する、すごい映画監督だそうです。

また映像の魔術師と呼ばれているんだとか。


キュートなアメリを演じた主演女優は、オドレイ・トトゥ
変な名前ですが、すごく痩せていて、最高にキュートな女性です。

アメリの印象が強すぎて、彼女のプライベートショットを見ても、ちょっと変わってる女性にしか見えません。

モデル出身。有名なファッション誌ヴォーグでもモデルとして採用されていました。
また2009年には、シャネルNO.5の広告塔にもなりました。

 


モテキ

難しさ:☆
面白さ:☆☆☆☆☆

「原作が漫画だから」って舐めてた。
主人公が恋やエロにいかれて、爆走し悶々としまくる。
原作とは全く違うオリジナルストーリー。ラブコメでは邦画でトップクラス。


あらすじ

31歳の幸世は、ニュースサイト・ナタリーに採用されます。仕事が楽しい!
でもみゆきという女性に会い、恋の予感。

だが彼女には男がいた!
するとみゆきの友達・るみ子が現れ、意気投合。水商売をしている愛とも、なんだかいい関係になって……。

再びモテキ襲来! 幸世大奮闘!


モテキの感想

最高!
誰かも言ってましたが、インド映画のようです。

歌あり、踊りあり! 妄想あり!
そのうえ恋愛の馬鹿さも、気まずさも、痛々しさも、こっけいさもあります。

Perfumeをバックに、森山未來演じる幸世が踊りまくるシーンなんて最高です。
なんでこういう映画がもっとないんだろう。

幸世は仕事の関係で、いろんな人に取材をします。そのため、バナナマンピエール瀧など、著名人がちらっと映るのも面白い。

ただこの作品の一番の魅力は、歌と踊りでしょう。
ストーリーも面白い。ですがストーリーだけを見ると、そこまで佳作ではないんです。
幸世が「この恋がうまくいくかも……」と思ったら、突然踊りだし、Perfumeが出てきて、通行人とか女子高生も踊りだすんですw
しかも1,2分かと思ったら、1曲分5分も踊り狂います。

ヒロインのひとり・るみ子はひとりカラオケが好きですが、幸世が混じり、ふたりでB'zを、狂ったように熱唱するシーンも最高です

気分が上がったときには歌っちゃう! 突然Perfumeが流れてきたり、アイドルソングが流れてきたり。

でも気分が沈んだときには、暗い曲が流れてきたり、おかしな妄想に励んだり……。

結局、気分が上がったとき踊ってると、最高に面白い! ってことですね!


スタッフ

原作は久保ミツロウの漫画『モテキ』です。
この映画に大感激したので、原作を読みましたが、私には全然面白くありませんでした。むしろつまらなかった。

ドラマ版も全話見たわけじゃないんですが、イマイチでした。

キャストは有名な人ばかりです。
主人公の藤本幸世は森山未來、四人のヒロインは、長澤まさみ麻生久美子仲里依紗真木よう子が演じています。

監督は大根仁(おおねひとし)。
ずっとダイコンジンって読むのかと思ってました。
堤幸彦(つつみゆきひこ)に師事しました。

堤幸彦は、『ケイゾク』や『トリック』などの作品を担当した監督です。

 


③フィリップ、君を愛してる

難しさ:☆
面白さ:☆☆☆☆☆

あらすじ

主人公のスティーブン(ジム・キャリー)は、警官です。
ですが恋人とリッチなゲイライフを送るため、詐欺をします。

でも、すぐにばれ、投獄されることに。

そんなスティーブン、刑務所でフィリップと出会い、彼は恋に落ちます。

フィリップは普通の生活を望んでますが、スティーブンは再び詐欺に手を出して……。

 

感想

最高に面白かった!
終盤、思わず、ぐぅーっと涙がこみ上げてくるシーンがありました。
そこではすごく泣いてしまった。

恋愛×犯罪、もしくは恋愛×刑務所ものといえるかもしれません。
しかもノンフィクションなので、刑務所での生活や、フィリップの犯す犯罪がとても細かく描かれています。

フィリップが犯す犯罪は、まず詐欺です。それから脱獄。
それもこれも、愛する恋人のため?

フィリップの犯す犯罪は暴力的なものじゃく、いわゆる頭を使った犯罪ばかり……。

見ていると、「こんな頭いいのに、なんでまともに働かないんだ?」と思ってしまうんですよね。

特に序盤では、馬鹿には到底できない犯罪で、大金を儲けているんです。

脱獄を企てるシーンも多くあります。その脱獄方法が、どれも細かく描かれてるんです。
ほかの映画で脱獄と言ったら、トンネルを掘って逃げる、なんてことが一般的ですよね。

でもこの映画では、違います。そんな方法じゃ脱獄しません。

ひとつだけ、フィリップの脱獄の仕方を取り上げると、医者に化けるシーンがあります。
刑務所には、外部から医者がくるようですが、当然囚人たちとは別の服を着ています。手術着のような、青い服です。

様々なものから青色を水に溶かし、それに服をバシャバシャとつけ、乾かします。
すると医者が着ている服のように見えます。

フィリップは、それを着て、医者のふりをすると、「お疲れ! お疲れー」と看守たちに言いながら、堂々と刑務所から出て行きます……。

恋愛の部分も、犯罪の部分も、めちゃくちゃ楽しめる、大感動の傑作犯罪恋愛映画です。

スタッフ

監督はグレン・フィカーラと、ジョン・レクア。全然知りません。

調べたんですが、?でした。

主演ふたりは超有名。ジム・キャリーと、ユアン・マクレガーです。

ジム・キャリーはコメディ映画『マスク』や『トゥルーマン・ショー』で人気を博した俳優です。元恋人が自殺する事件で、最近話題になりました。

トゥルーマン・ショー』は人気ですが、自分はさっぱりわからなかったです。てか、すごくつまらなかった。

ジム・キャリーと共演したのが、ユアン・マクレガー
ユアン・マクレガーの出ている作品では、2001年のアメリカ映画ムーラン・ルージュがおすすめです。
ショービジネスを仕事にしたくなる、最高のミュージカル映画です!

あとは戦争映画の『ブラックホーク・ダウン』もおすすめですね。

ユアン・マクレガーは、引っ込み思案そうな、押しに弱そうな顔をしていますので、フィリップの役がなかなか似合っています。

 

④恋するリベラーチェ

難しさ:☆
面白さ:☆☆☆☆☆

実話したピアニストを描いた音楽恋愛映画。
感涙必須!


リベラーチェのあらすじ

実在したアメリカ人ピアニスト、リベラーチェ。

彼のもとに、スコット青年が訪れ、二人の恋愛が始まります。

リベラーチェにとってスコットは愛する存在。またスコットにとってリベラーチェは父親同然。

リッチで順調なはずだった二人の恋愛関係が、ですが、徐々に変化していってしまいます……。

リベラーチェの感想 

音楽映画であり、恋愛映画でもあります。

リベラーチェが序盤、華やかな衣装をを着て、ピアノを弾くシーンがあるんですが、そこが超かっこいい!
最初は8ビート、次は16ビート、「それでこれが32ビートだ!」と、めちゃめちゃ速弾きするんです。

すごい速度でピアノを弾き、マット・デイモン演じる主人公が、思わず「ワオ!」と声をあげます。

実話をもとにしており、細かく描写しているため、途中、ちょっと閉塞感が描かれます。すごくキラキラした服を着て、最高のものを食べて、客さんにキャーキャー言われて、でも閉塞感。

そのあたりでは、ちょっと辛くなってきたな……とちょっと思いました。
ですが終盤のあのシーンにはやられましたね!
号泣してしまった。

リベラーチェのスタッフ

原作は、リベラーチェの元恋人、スコット・ソーソンの『Behind the Candelabra』

監督はスティーブン・ソダーバーグ
ソダーバーグはかなり有名な監督です。
監督した作品には、『オーシャンズ11』や『エリン・ブロコビッチ』があります。

私はどちらも好きじゃありませんが……。

ソダーバーグは高校生のころから、大学の映画や、アニメーションの講義を受けていたそうです。
若いころから、本格的に準備を始めていたんですね。

高校を卒業して、ハリウッドでフリーの編集者として働きます。
その後、『セックスと嘘とビデオテープ』でカンヌ国際映画祭パルムドールに輝きました。

主演は、マット・デイモンマイケル・ダグラス

マット・デイモンはいまでこそ有名ですが、はじめはなかなか売れず、苦労したようです。
ですがスピルバーグ監督の『プライベート・ライアン』に出演、そしてソダーバーグ監督の『オーシャンズ11』で人気者になりました!

マイケル・ダグラスは、両親が役者で、10代のころからショー・ビジネスに関心を持っていました。
72年から始まったTVドラマ『サンフランシスコ捜査線』で有名に。

また『カッコーの巣の上で』で、作品賞含め、アカデミー賞4部門を受賞しました。
ハリウッドを代表する役者です。

2010年8月には、喉頭がんであることを明らかにしました。ですが病気を克服し、現在も役者として活躍しています。

 

⑤シンデレラ・リバティー/かぎりなき愛

難しさ:☆
面白さ:☆☆☆☆☆


あらすじ

主人公バッグスは軍人。
「シンデレラ・リバティー」という休暇をもらい、町へ繰り出します。

これは、真夜中までに帰還しないといけない休暇のことです。軍の規則が厳しかったためです。

その最中、マギーという美しい女性と出会います。バッグスは一夜を共にします。

ですがマギーは売春で稼ぎ、子どもが一人いました。ですがバッグスは彼女に恋をしてしまい……。 

シンデレラ・リバティー/かぎりなき愛の感想

とてもさわやかな恋愛映画です。

また女性がとても魅力的です。
めちゃめちゃ癖のある女の子を、とても魅力的に描いています。

確かにすごくきれいです。ですが、30を超えています。
そのうえ、ナイフを持ってる子どもがいて、売春をしていて、すぐヒステリーを起こす。

でも、すごく魅力的です。
そんな女性なのに、主人公が恋する理由がわかりますよ。

マーシャ・メイソンの演技力もあってのことでしょうが、ひとりの女性がしっかり作りこまれています。

顔がかわいいから、じゃないです。
ヒロインをしっかり魅力的だな、と思える恋愛映画です。

またユーモアもあります。
にやにやしちゃうユーモラスなシーンが各所にあり、ラストにもユーモアが効いています。

そして、風が吹き抜けたようなさわやかなラスト。

大感動、というわけじゃありませんが、さわやかな恋愛映画の佳作です。

スタッフ

主人公の水兵・バッグスを、ジェームズ・カーンが演じています。

幼いころはキラー・カーンというあだ名がつくほどの悪だったそうで、2度も転校する目に合ったらしいです。

でもスポーツも勉強もできて、なんと16歳で飛び級してミシガン州立大学に入学します。キラーカーンすごい!

ですが大学は卒業せず、バイトしながら演技を勉強し、役者になりました。
ゴッドファーザー』でマイケルの兄・ソニーとして名演を披露、アカデミー助演賞候補となりました。


この映画で、最高に魅力的な女性を演じたのは、マーシャ・メイソン。
1942年生まれで、もうおばあちゃんですが、当時は32歳。

この『シンデレラ・リバティー/かぎりなき愛』で、ゴールデングローブの女優賞を受賞しました。
またアカデミー賞にもノミネートされました。

ヒステリックなところのある女性なのに、ものすごく魅力的に演じています。


原作があり、ダリル・ポニックサンの同名小説がそうです。脚本も彼が担当しました。
監督はマーク・ライデルです。

 


コールドマウンテン

難しさ:☆
面白さ:☆☆☆☆ 


あらすじ

南北戦争末期。
南軍兵士のインマンは、恋する女性・エイダに別れを告げ、戦争に行きます。

インマンは捕虜となりますが、脱走し、故郷・コールドマウンテンへ。

愛する女性・エイダに会うために、様々な苦難を乗り越えながら、壮大な旅をします。
王道ラブ・ロマンス!

コールドマウンテンの感想

ストーリーは超王道。
だからこそのよさがあります。

戦争×恋愛映画なわけですが、ラブラブなシーンよりも、過酷なシーンの方が多いですね。残酷なシーンが適宜あるからこそ、この壮大で長い映画を、退屈せずみられるのかもしれません。

個人的にはレネー・ゼルウィガー演じる、たくましい野生児みたいな女の子が好きでした。

主人公もヒロインも、美男美女で、相手のことを強く思っているのはわかります。ただ、あんまりキャラが立ってないんですよね。

ですがレネー・ゼルウィガーの野生児女子や、彼女の父親、町の連中に追われる司祭など、個性的なわき役が作品を盛り上げています。

いわゆる悪役も登場しますが、もっともっと残虐でよかったんじゃないかと思います。

王道過ぎるため、ちょっと物足りなさはあります。
ですがプラトニック・ラブを扱った、良質なエンタメ映画ですので、見ておいて損はないでしょう。

スタッフ

役者陣は非常に豪華です。
主演はジュード・ロウ
12歳から演劇をやっていて、17で学校を中退、以来、俳優業をやっています。
本作『コールド・マウンテン』で主演男優賞にノミネートされました。

またさきほど紹介した『フィリップ、君を愛してる』のユアン・マクレガーと、かつてルームメイト。
そのため、二人で制作会社を設立、プロデューサーとしても活躍しました。

彼の出てる作品では、SF映画ガタカ』も悪くないですね。


ヒロインはニコール・キッドマン

『デイズ・オブ・サンダー』という映画でハリウッドにデビューしました。
この映画で共演したトム・クルーズと結婚し、話題になりました。残念ながら別れてしまいましたが。

ニコール・キッドマンが出ているほかの映画では、ムーラン・ルージュ』が超おすすめです。
ユアン・マクレガーと共演しています。
ミュージカル映画なんですが、自分も歌って踊りたくなるほど最高の映画です。


またレネー・ゼルウィガーも出ています。

ブリジット・ジョーンズの日記』の主演を務めたので、日本でも非常に有名な女優です。この映画ではアカデミー主演賞にノミネートされました。

大学在学中に、演劇の授業を受け、この世界に入ってきたそうです。

この作品では、アカデミー助演女優賞を受賞しています。

ストーリーも見事ですが、演技も非常に評価された作品なんです。

 


風と共に去りぬ

難しさ:☆
面白さ:☆☆☆☆☆


あらすじ

お金持ちのお嬢様スカーレット・オハラは、恋愛に贅沢にと楽しく暮らしていました。

ですが、南北戦争が勃発。
それまで気ままに生きていましたが、自分の力で生き抜かねばいけなくなります。

かつての贅沢はできなくなりますが、スカーレットは、力強く生きていきます。

そしてスカーレットは、レット・バトラーという、お金持ちの男と結婚しますが、好きな人はべつにいて……?

戦争、恋愛、力強く生きる姿勢、そのすべてが詰め込まれた名作恋愛映画。


感想

原作が小説だけあって、ドラマティックで、構成がしっかりしており、夢中で見てしまいました。

大長編の小説を、たった四時間足らずに凝縮しているため、ものすごく密度が濃いです。

どんどん、どんどん展開していくので、前編後編合わせて、四時間近いにもかかわらず全く退屈しません。

この映画では、いいことも悪いことも、次々に押し寄せます。ですがそれを次々と乗り越え、お嬢様だったスカーレットが逞しく生き抜く様子が面白いですね。

こういう映画を見ると、「やっぱり原作がある映画は違うなあ」と思います。重厚感やドラマが段違い。

好きなシーンはいくつかありますが、やっぱりラストですね。ネタバレになるので詳しくは書きませんが、スカーレットが最後そこにすがるのか、そこに救いを求めるのか、と少々驚かされました。

四時間近い時間のなかで、スカーレットはどんどん成長し、数々のつらい目に遭いますが、最後スカーレットがすがるもの? というか、選ぶものを知ったとき、スカーレットは本当に大きく変わったな、と感じましたね。

ほかには、スカーレットが、自分はまだお金持ちだと見せるために、カーテンでドレスを作りますが、ここが好きです。

緑のカーテンで作ったドレスを着るビビアン・リーは、すごくキュートでした。
映画を見て、女優に恋するということはほとんどないんですが、主人公スカーレットを演じるビビアン・リーはすっごくかわいくて、ときめきました。

参考にしたサイト


Yahoo!映画 アメリ
https://movies.yahoo.co.jp/movie/%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA/236086/story/

 

Amazon アメリ[DVD]
https://www.amazon.co.jp/%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA-DVD-%E3%82%AA%E3%83%89%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%83%BB%E3%83%88%E3%83%88%E3%82%A5/dp/B000063UPL

 

映画.com ロング・エンゲージメント
https://eiga.com/movie/1504/critic/

 

映画.com ジャン=ピエール・ジュネ
https://eiga.com/person/38590/

 

ciatr[シアター] オドレイ・トトゥ出演おすすめ映画8選
https://ciatr.jp/topics/103013

 

ciatr[シアター] 映画『モテキ』の成功は作品を彩ったキャストにあった!
https://ciatr.jp/topics/212458

 

映画.com 大根仁
https://eiga.com/person/22308/

 

映画.com 堤幸彦
https://eiga.com/person/48746/ 

 

Amazon | 恋するリベラーチェ [DVD]
https://www.amazon.co.jp/%E6%81%8B%E3%81%99%E3%82%8B%E3%83%AA%E3%83%99%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%83%81%E3%82%A7-DVD-%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%82%B1%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%80%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%82%B9/dp/B00IK8IHLS

 

映画.com マット・デイモン
https://eiga.com/person/69592/ 

 

映画.com スティーブン・ソダーバーグ
https://eiga.com/person/43255/

 

映画.com マイケル・ダグラス
https://eiga.com/person/68474/ 

 

映画.com ジム・キャリー
https://eiga.com/person/37449/ 

 

ジム・キャリーの元恋人が自殺直前に書いた遺書の内容が公開される| 海外ドラマ&セレブニュース TVグルーヴ
https://www.tvgroove.com/news/article/ctg/1/nid/29271.html

Amazon | シンデレラ・リバティー/かぎりなき愛
https://www.amazon.co.jp/%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%83%87%E3%83%AC%E3%83%A9%E3%83%BB%E3%83%AA%E3%83%90%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%BC%EF%BC%8F%E3%81%8B%E3%81%8E%E3%82%8A%E3%81%AA%E3%81%8D%E6%84%9B-DVD-%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%82%BA%E3%83%BB%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%B3/dp/B004NSW17U

 

allcinema ジェームズ・カーン
http://www.allcinema.net/prog/show_p.php?num_p=38629

 

allcinema マーシャ・メイソン
http://www.allcinema.net/prog/show_p.php?num_p=38726

Amazon | コールドマウンテン 

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Amazon | 風と共に去りぬ
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シナリオ執筆で重要な三つのこと

シナリオのコンクールに、ずいぶん長い間投稿しています。でも……最終選考に残ったことはありますが、なかなか受賞とはいきません。

ですが長年投稿し、つかんだことがいくつかあります。

そのため、書く腕も上がりましたし、一時すら通らなかったのに、最終選考まで残るようになりました。

具体的な執筆論ではありません。

「確実に成長するにはどうすればいいか」

その疑問に対する、私なりの答えをまとめました。

公募のシナリオ賞でいい結果を出す助けとなれば……と思います。


①書くスピードを軽視しない

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脚本を執筆するうえで、一番大切だと思う一つです。

私は初期には、時間をかければいい脚本が書けると思っていました。ですがこれは間違いでした。

4か月かけて1作書き、年に3作執筆する人。
毎月2作執筆し、年に24作執筆する人。
どちらの成長が早いでしょうか。

断然後者です。

適当に書いてはもちろん駄目です。
ですが、時間をかけすぎるのはもっと駄目。だったら適当にたくさん書いたほうがいいくらいでしょう。

芸術家ぶって、一作一作に時間をかけすぎると成長できません。

シナリオ執筆の腕を上げるには、どれだけ失敗するかです。

傑作を書こうとしちゃいけない。
大傑作を書く意識は持ちながらも、とにかくスピードを重視し、成長をしようとすべきなんです。

いまは、毎月2作が最低ノルマだと思っています。

ほかの方のブログを見ていると、フジテレビ ヤングシナリオ大賞、WOWOWシナリオ大賞、テレビ朝日シナリオコンクールのため、年に3作しか書かない方も多いです。

これではやっぱり成長スピードが遅いと思うんです。

最低でも毎月2作、年に24作は書くべきです。
できないのであれば、なぜ早く書けないのかを徹底的に研究するべきでしょう。

作品をたくさん書かなければ、ストーリーを作る力も、文章力も身につきません!


②自作の傾向を知る。

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これもめちゃめちゃ重要です。
自作の傾向を見つめ、反省しないとだめです。

やってなければ、すぐやるべきです。
どんな人でも確実に成長します。

脚本家を目指している方のなかには、落選作を公開している人もいます。拝見すると、毎回同じミスをしていることが多いです。

私の場合にも、傾向がありました。
初期の作品の傾向は、「設定は懸命に考えているが、ストーリーがない」でした。

一作だけじゃ気づかないんです。また書きっぱなしでも気づきません。
五作近く全力で書いて、全部チェックしてみると、共通の駄目な点があります。

そうすることで、客観視できてない自分の欠点を、俯瞰できることもあるでしょう。

落選作は貴重な財産です。
落選作は、何よりの教科書ともいえるでしょう。

「自分は毎回ストーリー作りが甘いな」や「蘊蓄に気合は入ってるが、ドラマがないな」など、様々な点に気づくと思います。

自作の駄目な点を、改善する努力がないと、成長できません。

 

③書きたいドラマを明確にする。

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これも非常に重要です。

「そんなの当たり前だろ!」と思う方もいるかもしれないですが、私はこれができていませんでした。

また脚本家志望者のブログなどを見る限り、できてない人は多いと思います。

脚本を書く前に「こういうのが書きたいんだ!」というビジョンを持つべきです。
そういうものがあるか、ないかでは、大きく違います。

たとえば「社会的な問題を扱ったほうがいいよな……。よし、それじゃあ過労死のことを書こう」こう思ったとします。

これは別にいいです。
本当に過労死について書きたいなら、いいんです。

当たり前ですが、「好きで好きでしょうがないから、これについて書きたい!」という場合や「どうしてもこれを訴えたいんだ!」という場合のほうが、より良い結果が生まれます。

「なんとなく、過労死をテーマにあげよう」ではだめです。

また、大切なのは設定じゃなく、ドラマです。
ですので「こういう流れのドラマが書きたい!」というビジョンを持たないといけないと思います。

簡単な例を挙げると「男の熱い友情が書きたい!」や「濃厚な恋愛ものが書きたい!」「ハラハラするアクションが書きたい!」などです。

そういうものを持ち、何度もチャレンジすべきです。

ですが書きたいものがないと、毎回なにかを適当に選んできて、落選。またぼんやりこういうものを……落選、となります。

こういうドラマが書きたいんだ!
というイメージを持つことは、大変難しいです。

ですがこれをしっかり持てれば、間違いなく成長します。

 

まとめ

脚本執筆で重要なことは

①スピードを軽視しない

②落選作を読み直し、反省をする。

③こういうものが書きたい! というビジョンを持つ

です。

受賞したい! という思いは大切です。

ですがそれには、「失敗してもいいから成長したい!」という思いでの作品作りも重要です。

法廷もの好き必見! おすすめ法廷映画5作を語る!

 

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法廷映画が大好き!

西洋の法廷には、王宮みたいな雰囲気があって、見ただけで「ああ、いいなあ」と感じてしまいます。

また法廷もののなかには、多くの傑作ミステリが眠っています

今回は、そんな傑作法廷映画を5作紹介し、感想を語ります。
ネタバレを書く場合には、白い文字で表記しますので、安心して読み進めてください。


①情婦

難しさ:☆
面白さ:☆☆☆☆☆

色あせることのない、法廷映画の名作。

原作は、アガサ・クリスティの短編『検察側の証人』。

クリスティが原作! ってだけで、もう面白そうじゃないですか。

展開も演技も見事な大傑作。


ストーリー

舞台はロンドン。
お金持ちの未亡人が刺殺されます。
容疑者のレナード(タイロン・パワー)は、一流弁護士ローバーツ卿(チャールズ・ロートン)に弁護を頼みます。

ですが、彼のアリバイを主張する妻(マレーネ・ディートリッヒ)が、とんでもない証言をします……。

白黒映画で、序盤は「面白いのかな、これ」って思ってましたが、すぐ引き込まれ、最後に思わずうなり声をあげた一作です。


感想

法廷映画の傑作。
白黒ですが、いまも燦然と輝いています。

何といっても、怒涛のラストが見所ですね。伏線も張られています。全然関係ないと思ってた人物や証言が、ラストになると意味を持ちます。

「ああ! おまえ、この事件にそんな風に関係あったのか!」

とハッとなりますし、事件の真相にも度肝を抜かれました。

実はこの映画の模倣じゃないですが、似た展開を持った作品が現在多くあります。私はその作品をいくつか見ており、そのうえでこれを見ました。

ですが、この『情婦』が一番楽しめましたし、度肝を抜かれました。
どんな人も、真相の衝撃にのけぞるでしょう。

 

監督・脚本はビリー・ワイルダー
コメディもミステリーも撮ってるマルチに活躍した監督です。マリリン・モンロー主演『お熱いのがお好き』も撮っています。

注目の役者は何といっても、容疑者の妻を演じたマレーネ・ディートリッヒ

この人はかわいらしい顔ってよりも、きつい感じなので、そんなにタイプじゃないんです。でも、すごく好きなんですよね。

癖のある女を演じさせたら、最高な女優です。

がっかりな点もあります。序盤のシーン。弁護士が片眼鏡で太陽光を反射させ、相手にまぶしい思いをさせて、その反応で嘘をついてるか確かめる? みたいなことをするんです。
そのシーンはいらなかったんじゃないか、と思います。

相手が嘘をついてるかどうか見極めるシーンが、論理的じゃない。

ことばのやり取りをして、嘘か本当かを見極めるならいいですが、光りを反射させてその反応で……、っていうのは、長年の経験があったとしても、どうなのかなと思いました。

ですがその程度で、妻の嫌な女っぷりも、物語の展開も、大満足の傑作法廷映画です。

十二人の怒れる男

難しさ:☆
面白さ:☆☆☆☆☆


ストーリー

アメリカの陪審員裁判の映画。

少年が殺人を犯したかどうか、12人の陪審員が話し合います。11人が有罪に投票しますが、8番陪審員ヘンリー・フォンダ)だけは無罪に投票。

以降、激論が戦わされます。

8番陪審員は、探偵のように、ひとつひとつを検証していきます。陪審員というよりも、ヘンリー・フォンダ演じる「探偵」ですね。
ほかの陪審員たちはだんたん、無罪に心が傾きますが……。

矢継ぎ早の推理で、有罪の根拠となっている、論理の弱さを突く!

密室劇の傑作!


スタッフ

脚本を担当したのはレジナルド・ローズ。彼のオリジナルです。

ローズは、実際に殺人事件の陪審員を務め、それが発端となり本作を書いたそうです。

監督はシドニー・ルメット
シドニー・ルメットはこれがデビュー作です。
この作品で、ベルリン国際映画祭金熊賞受賞しました。

汚職とたたかう警官を描いた『セルピコ』、次に紹介する名作『評決』も、シドニー・ルメットが演出。
社会派サスペンスを多く発表した名監督です。


感想

殺人事件で誰もが有罪を疑わないなか、その根拠の薄弱な部分を、どんどん突いていきます。
それが面白く、爽快ですらありますね。

それに、純粋にかっこいいですよね。
有罪を無罪にひっくり返そうとするわけですから。

またこの作品の魅力は、「矢継ぎ早の推理で、有罪を無罪に……」ってだけじゃないんです。

12人の陪審員、それぞれがとてもよく描かれているんですよ。この映画を見て10年近くたっています。
ですが、いまだに一人一人の顔と性格を思い出せます。

映画を見ても、つまらないとキャラクターも、ストーリーもすぐ忘れます。
でもこの『十二人の怒れる男』では、どのキャラクターも非常に印象に残っているんです。

 

ずっと同じ部屋で話し合っている密室劇だから、こじんまりしてるんじゃないか、って意見もあるかもしれません。

ですが全くそんなことないんです。
確かにずっと一つの部屋にいます。
いますが、役者たちはただ座ってるだけじゃないんですよ。ただじっとしてるだけじゃない。いい動きをして、小ぢんまりさを全く感じさせないんです。

この映画の、個人的なよくない点を挙げれば、二つあります。
序盤、ヘンリー・フォンダ演じる8番陪審員が、凶器の飛び出しナイフについての議論中、あることをします。

その行動が乱暴じゃないかな、と。
ここにちょっと違和感を感じてしまったんです。突き立てなくても……、と。

また最後、できればあの頑固者のじいさんを、もっと論理的な方法で……と思いました。
メガネの男は推理で倒したので、全員を推理という武器で倒してほしかったな、なんて思いました。

『情婦』も素晴らしい。
マレーネ・ディートリッヒが最高。

ですがシドニー・ルメット監督の『十二人の怒れる男』も、最高の法廷映画です。

③評決

難しさ:☆☆☆
面白さ:☆☆☆☆☆

 

静かな雰囲気をたたえた傑作。
法廷映画は、『十二人の怒れる男』のように、喧々囂々の議論があり、にぎやかなものが多い。
だがこの映画は静か。最も静かな法廷映画ではないかと思います。

アルカトラズからの脱出』のような落ち着いた雰囲気をたたえた傑作。


ストーリー

初老のギャルビン弁護士(ポール・ニューマン)は、アルコール中毒です。ですがそんな落ちぶれたギャビン弁護士のところに、医療ミスを証明する裁判の依頼が舞い込みます。

ですが、相手の弁護士は手ごわく、一筋縄ではいきません。

ギャルビン弁護士は、立ち直るためにも、必死になりますが、ある女性弁護士(シャーロット・ランプリング)に出会い……。


スタッフ

監督は『十二人の怒れる男』と同じシドニー・ルメット

主演はポール・ニューマンです。
1925年生まれ。2008年に亡くなった、誰もに知られる名優です。

アカデミー賞に何度もノミネートされ、レーサーとしても活躍しました。
実在する強盗たちを描いた、著名な『明日に向かって撃て!』では、ブッチ・キャシディを演じました。

この『評決』は、ポール・ニューマンにとって、とても重要な役柄になりました。それまでポールは、青い目のいい男というイメージでした。
ですがこの『評決』で、シルバーな荒廃した雰囲気の男を、見事演じました。
ポール・ニューマンの転換期に、非常に重要な作品となりました。


感想

前述しましたが、静かな雰囲気の映画です。
法廷映画に、静かな雰囲気をたたえた作品は少ないのではないでしょうか。

ストーリーはもちろん、面白いのですが、たたえる雰囲気が本当にいい。

法廷ものの多くが、ラストでは「衝撃の真実が明らかに!」とか、「裁判に見事勝利! やった!」という感じだと思います。

ですがこの『評決』のラストは、そんな感じではありません。
にぎやかさは全くないんです。
とても静かなラストです。

裁判の模様はもちろん、ポール・ニューマン演じる弁護士と、女性弁護士との関係も興味深いですね。

裁判だけじゃなく、人間ドラマも非常に面白い見事な法廷映画です。

 

 

④真実の行方

難しさ:☆
面白さ:☆☆☆☆☆


ストーリー

大司教が、めった刺しにされるシーンから始まります。現場から逃げた血まみれの男・19歳のアーロン(エドワード・ノートン)は、すぐ逮捕されます。
弁護士のマーティン・ベイル(リチャード・ギア)は彼の弁護を引き受け、元カノの検事・ジャネットと戦うことになります。

ですが、大司教や、検事局の大物たちの秘密が、次々に明らかになり……。

構成が見事で、次々明らかになっていく真実に、ぐいぐい引き込まれます。ちょっと見始めたら、つい一気に最後まで見てしまうほどの、リーダビリティを持った作品です


スタッフ

構成が見事なんですよね。
ポンポンポン、とテンポよく運んで、ぐぐぐっと引き込まれてしまいます。
次々秘密が明らかになって事件が起こり、「これぞエンタメ!」って感じです。

すーぐ引き込まれてしまう!

誰が話を作ったのかと思ったら、原作があるんです。
ウィリアム・ディールの小説が原作です。
この作家のことは全然知らなかったんですが、アマゾンで調べると、そこそこ日本でも出版されてるみたいです。

レビューを見ると、かなり高評価なので、ちょっと読んでみようかなと思います。

シャーキーズ・マシーンという小説も、映画化されている模様です。

 

監督はグレゴリー・ホブリット。
グレゴリー・ホブリットは主にサスペンスを撮っている監督です。

主演は超有名なリチャード・ギアです。
リチャード・ギアが出てる作品だと、個人的には『クロッシング』が好きですね。

リチャード・ギアは、熱心なチベット仏教徒だと知ってますか? また現在はハリウッドから通報状態にあるとか。

中国はアメリカに次ぐ映画市場で、ハリウッドは中国と仲良くしたいようなんです。ですが人道主義者で、熱心なチベット仏教徒(ラマ教徒)であるリチャードは、中国のチベット抑圧を非難してるんです。

2010年のインドの仏教イベントでも、中国を非難しました。

そのため中国といい関係を築きたいハリウッドから干されていて、アカデミー賞授賞式には出禁、大作への出演も困難らしいです。

ですが2018年4月24日には、33歳年下のスペイン人女性と、3度目の結婚をするなど、私生活は充実しているみたいです。

また『ファイト・クラブ』で著名となる、エドワード・ノートンも出演、彼のデビュー作です。
エドワード・ノートンは、お父さんが連邦首席検察官で、おじいちゃんが建築家という名門に生まれました。イェール大学を卒業し、ニューヨークで演劇活動を本格始動させます。

この作品がデビュー作とは思えないほど、「うわっ! やられたっ!」という演技をしています。


感想

展開のさせ方が見事ですよね。
いわゆる法廷ものなので、意外な犯人というか、ラストシーンにばかり注目が集まってしまいます。

ラストシーンももちろんいいんですが、一気に私たちを引き込み、タン、タン、タンと展開させるスピード感、そういうものがホント最高ですね。

どんな悩みごとがあるときでも、これを見ると夢中になって、忘れてしまうんじゃないでしょうか。それくらいのリーダビリティを持っています。

 

また演技がね、いいですね(笑)。

映画の楽しみ方はそれぞれで、ストーリーを見ているんであって、演技は下手じゃなくていい、って人も多いと思います。
演技に感動した! って経験はほとんどない、って人も多いんじゃないでしょうか。

でも『真実の行方』のエドワード・ノートンの演技には、うわあ、役者ってすげえなあと思ってしまうと思います。

 

以下、ネタバレなので、白地にして書きます。見たい人のみ、読んでみてください。

この映画のラストには確かに驚いたんですが、ちょっとおかしいとも思いました。
だってそうじゃないですか?

エドワード・ノートン演じるアーロンは、二重人格のふりをするほど、頭がいいんですよ。
なのに、なんであんな朝っぱらに、司教をを殺したんでしょう。

あれだけ頭がいいなら、深夜にこっそり殺すとか、もっとやり方があったんじゃないでしょうか。工夫した末、捕まって、二重人格を演じるはいいと思います。

でも、なんであえて、あんなリスキーな方法を取ろうと思ったんでしょうか。

そこがどうしても引っかかるんですよね。
傑作でしたが。

 

ジャスティ

難しさ:☆☆
面白さ:☆☆☆☆

面白さは☆5つはいかないですが、毛色の変わった? とは言いませんが、ほかの法廷映画とは違うので、紹介したいと思います。


ストーリー

熱血若手弁護士のアーサー(アル・パチーノ)が、腐った判事たちに立ち向かうストーリー。

明るい映画とは言えず、どん底で苦しむ人びとが登場し、彼らのためにアーサーは全力で尽くす。

そんななか、判事が事件を犯し、弁護を頼まれるが……

ほとんど孤立無援だが、自分の信念を曲げずに奮闘する、若手弁護士の活躍を描いた作品。


スタッフ

監督はノーマン・ジュイソン
全然知らない監督です。
調べると、ヒューマン・ファンタジーやコメディ、社会映画など、様々なジャンルを撮っている監督です。

主演はアル・パチーノ

彼は超有名ですね。

アル・パチーノは、1940年生まれ。
若いころからずっと映画に出てるので、「あっ、あの青年、アル・パチーノだったのか」「あ、あのおじいさんもアル・パチーノだったっけ」なんて経験を私はします。

貧しい生まれで、教師の勧めで演技高校に入学し、劇場でバイトしながら通ったそうです。
でも17歳で学校は退学、職を転々としながらも、役者の夢をあきらめませんでした。
その後『ナタリーの朝』でデビューし、『ゴッドファーザー』でアカデミー助演男優賞にノミネートされました。

ハリウッドには180センチを超える人たちも多い中、アル・パチーノは166センチなんですよね。
日本では背が高いですが、映画ではすごく小さく見えるんですよね。

この『ジャスティス』でも、ヒロインであるクリスティーン・ラーティより小さいので、なんだか弟のように見えます(笑)

 

感想

いままでの名作4作に比べると、見劣りする部分はあると思います。

ですが面白い作品ですし、ほかの法廷映画が取り上げない、罪を犯したどん底の人々を取り上げていて、なかなかスッとする映画です。

暗い雰囲気は嫌いじゃないのですが、リーダビリティは低いですね。

またなぜ、アル・パチーノ演じるアーサーに弁護を頼んだのか、それが疑問です。

 

どんでん返しとはいきませんが、意外な展開もあり、 気持ちの良いラストではあります。ただ貧困層の苦しみを、もっと踏み込んで描くなどがあれば、もっとよかったのになと感じました。

 

まとめ

いい点、悪い展開てきましたが、以上5作を見ずして、法廷映画は語れないと思います。

特に『情婦』『十二人の怒れる男』『評決』『真実の行方』はめちゃくちゃ面白いので、映画が好きならぜひともチェックしてください。

私は今まで紹介した5作品は、全部ツタヤディスカスの、DVDを家まで届けてくれるサービスで見ました。

すごく便利だし、初月は無料なので、ぜひ一度利用してみてください。