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溝口健二『雨月物語』レビュー。見返すと全然別物だった


同じ映画を二回見る、ってことはあんまりありません。だってHuluとかある現在、どんどん新しいのが見れるじゃないですか。

ですが先月、溝口健二の『雨月物語』とヒッチコックの『めまい』を見返しました。

また最近は『シンデレラ・リバティー/かぎりなき愛』を見返しています。

なんでかってことなんですが、『雨月物語』と『めまい』は、「世界の批評家が選ぶ偉大な映画50選」ってランキングで、上位にランクインしている、と知ったからでした。

「あれ? この二作って、そんなにすごかったっけ?」と思い見返したんです。

まだ映画を見始めて間もない二十二、三のころに見た雨月物語は「うん、悪くないじゃん」って感じでした。

ですがそれから六年後、雨月物語は全然別の作品になっていました。

映画見はじめだったあの頃は白黒映画ってだけで「うわー……やだなあ」なんて思ってましたよ。
でも、雨月物語、めちゃめちゃ美しい!
あとすげえ怖いじゃん!

すごく引き込まれますよね。
始まってすぐ、別のこと考えてても、視聴者を、グイ―――――って引き込む。美しい。怖い。すごい映画ですよ。

ただストーリーにもっとひねりが欲しいなぁと思ってしまう。なんつうか、ありきたりって言ったらあれですが……。

でもすごい映画。
雨月物語では、序盤がすごく好きです。美しさと怖さが見事に表現されていますよね!

また陶芸をやってる主人公と奥さんたちが、船で河をわたるシーンがあります。
霧が立ち込めるなか、船をこぐあのシーン、怖くて、美しい。
すごくいい。いつまでも見ていたいくらいです。

正直、カラー映画より白黒映画のほうが美しいんじゃないかな、なんて思ってしまう。

またちょっと感動する部分もあります。
奥さんが、金を儲けよう儲けようという陶芸家に、「私は今のままで満足です。あなただけいてくれれば」みたいな、そういうことを言うんです。
そんなところには感動してしまいます。

 

ただ雨月物語、素晴らしいんですが、途中で眠気を感じる……。
私がまだまだなせいでしょう。

どんな面白い映画でも、けっこう眠くなっちゃうんですよねw
映画館には本当に向いてません。

ヒッチコックの『めまい』も、22,3のときに見ました。
あのときは「は?」って感じでした。

 

ですがそれから6年後……。

うーん……。そんなにすごいかな?

確かに、あのころとは別の作品でした。
あのとき見えてなかったものが、ちゃんと見えるようになりました。

たとえば映像がきれい。
それから、ズームアウトの気持ち悪さ。
めまいを感じます。
あれは気持ち悪い。
地面が映って、そこからズームアウト、だんだん地面が遠ざかっていく……あの気持ち悪さ。

映画見て「うっ、酔いそう」と思ったのは初めてです。

それに後半、衣装を次々に着せて行くあのシーン、怖かったですよ。
でもストーリーがなあ。

以下ネタバレになりますので白い文字にしますが。

あれだけの計画を立てたのに、なんであの女は近所をうろついてたの? と思ってしまう。
そこに違和感があるんですよ。
職場や大学の都合? なのかもしれない。

それに仕組んだ男は外国。だからOKなのかもしれない。

でも、そのあたりずさんじゃないかなあ、と思ってしまう。
偶然街で見つける、ってのも、ご都合主義じゃないかなあ。

映像はきれいだし、酔いそうだし、怖いなって部分もある。
でもストーリーがひどい気がするんですよね。

いい映画だなとは思いますけどね。

とにかく、『雨月物語』も『めまい』も、22のときと、28のいま見るのでは、まったく別の作品でした。

雨月物語』は想像以上に面白かった。すごかった! また見返すかもしれない。Huluなんかがある時代に、自分が何回も同じ映画を見直すとは思わなかったです。

ふと、あの映画はどうだったんだろう、と思うんですよ。
たとえばゴッドファーザー

当時、「ほう。まあまあ面白いじゃん」って思いました。ただあれから、6年たってるんですよね。

見返したら、めちゃめちゃ面白くなってるんじゃないかな。
うーん、次はゴッドファーザーを見てみようかな。