シナリオ執筆で重要な三つのこと
シナリオのコンクールに、ずいぶん長い間投稿しています。でも……最終選考に残ったことはありますが、なかなか受賞とはいきません。
ですが長年投稿し、つかんだことがいくつかあります。
そのため、書く腕も上がりましたし、一時すら通らなかったのに、最終選考まで残るようになりました。
具体的な執筆論ではありません。
「確実に成長するにはどうすればいいか」
その疑問に対する、私なりの答えをまとめました。
公募のシナリオ賞でいい結果を出す助けとなれば……と思います。
①書くスピードを軽視しない
脚本を執筆するうえで、一番大切だと思う一つです。
私は初期には、時間をかければいい脚本が書けると思っていました。ですがこれは間違いでした。
4か月かけて1作書き、年に3作執筆する人。
毎月2作執筆し、年に24作執筆する人。
どちらの成長が早いでしょうか。
断然後者です。
適当に書いてはもちろん駄目です。
ですが、時間をかけすぎるのはもっと駄目。だったら適当にたくさん書いたほうがいいくらいでしょう。
芸術家ぶって、一作一作に時間をかけすぎると成長できません。
シナリオ執筆の腕を上げるには、どれだけ失敗するかです。
傑作を書こうとしちゃいけない。
大傑作を書く意識は持ちながらも、とにかくスピードを重視し、成長をしようとすべきなんです。
いまは、毎月2作が最低ノルマだと思っています。
ほかの方のブログを見ていると、フジテレビ ヤングシナリオ大賞、WOWOWシナリオ大賞、テレビ朝日シナリオコンクールのため、年に3作しか書かない方も多いです。
これではやっぱり成長スピードが遅いと思うんです。
最低でも毎月2作、年に24作は書くべきです。
できないのであれば、なぜ早く書けないのかを徹底的に研究するべきでしょう。
作品をたくさん書かなければ、ストーリーを作る力も、文章力も身につきません!
②自作の傾向を知る。
これもめちゃめちゃ重要です。
自作の傾向を見つめ、反省しないとだめです。
やってなければ、すぐやるべきです。
どんな人でも確実に成長します。
脚本家を目指している方のなかには、落選作を公開している人もいます。拝見すると、毎回同じミスをしていることが多いです。
私の場合にも、傾向がありました。
初期の作品の傾向は、「設定は懸命に考えているが、ストーリーがない」でした。
一作だけじゃ気づかないんです。また書きっぱなしでも気づきません。
五作近く全力で書いて、全部チェックしてみると、共通の駄目な点があります。
そうすることで、客観視できてない自分の欠点を、俯瞰できることもあるでしょう。
落選作は貴重な財産です。
落選作は、何よりの教科書ともいえるでしょう。
「自分は毎回ストーリー作りが甘いな」や「蘊蓄に気合は入ってるが、ドラマがないな」など、様々な点に気づくと思います。
自作の駄目な点を、改善する努力がないと、成長できません。
③書きたいドラマを明確にする。
これも非常に重要です。
「そんなの当たり前だろ!」と思う方もいるかもしれないですが、私はこれができていませんでした。
また脚本家志望者のブログなどを見る限り、できてない人は多いと思います。
脚本を書く前に「こういうのが書きたいんだ!」というビジョンを持つべきです。
そういうものがあるか、ないかでは、大きく違います。
たとえば「社会的な問題を扱ったほうがいいよな……。よし、それじゃあ過労死のことを書こう」こう思ったとします。
これは別にいいです。
本当に過労死について書きたいなら、いいんです。
当たり前ですが、「好きで好きでしょうがないから、これについて書きたい!」という場合や「どうしてもこれを訴えたいんだ!」という場合のほうが、より良い結果が生まれます。
「なんとなく、過労死をテーマにあげよう」ではだめです。
また、大切なのは設定じゃなく、ドラマです。
ですので「こういう流れのドラマが書きたい!」というビジョンを持たないといけないと思います。
簡単な例を挙げると「男の熱い友情が書きたい!」や「濃厚な恋愛ものが書きたい!」「ハラハラするアクションが書きたい!」などです。
そういうものを持ち、何度もチャレンジすべきです。
ですが書きたいものがないと、毎回なにかを適当に選んできて、落選。またぼんやりこういうものを……落選、となります。
こういうドラマが書きたいんだ!
というイメージを持つことは、大変難しいです。
ですがこれをしっかり持てれば、間違いなく成長します。
まとめ
脚本執筆で重要なことは
①スピードを軽視しない
②落選作を読み直し、反省をする。
③こういうものが書きたい! というビジョンを持つ
です。
受賞したい! という思いは大切です。
ですがそれには、「失敗してもいいから成長したい!」という思いでの作品作りも重要です。