なごんのエンタメ

面白い小説や、映画について書いています。

GANMA!の漫画は面白いが、パソコンで見にくい

 お金のないマンガ好きの強い味方、GANMA!

GANMA!では、優れた漫画作品がすべて無料で読めます。

マンガ好きでまだ使ってない、って人はぜひ。

ganma.jp

 

ここに連載されてる漫画には面白い作品がとても多いです。

オーバーハング!』よかった。

これはクライミングの漫画なんですが、ジャンプに乗ってる少年漫画みたいで、なかなか熱狂しました。
もちろん、あのラストには唖然としましたよ。「ああ、作者、漫画書くのに飽きちゃったのか」と。

 

いま読んでる漫画だと、鉄血機関とか、ふぞろいユモレスクとか好きですね。

とくにふぞろいユモレスクはくせになってしまうw

あのバカさ加減がいいんですよ。

 

ただ、2018年10月現在、漫画によって、ページがなかなか捲れないんですよ。

たとえば、わたしのパソコンはDellのWindows10で、高画質の動画がサクサク見られるスペックです。

ふぞろいユモレスクとか鉄血機関は、サクサクページが捲れます。

でも、たとえば「ユメクイ」という漫画だと、めくる矢印マークを押して、五秒くらいしないと、ページが捲れません。

どういうわけか、スムーズにページが捲れる漫画と、そうじゃない漫画があるんです。

 

あとパソコンだと、応援ができないのもつらい。

どうせなら大きな画面で読みたい、と思うのは普通のことだと思うんです。だからパソコンで読んでるんですが、パソコンだと、広告を見て応援するってことができません。

またいわゆる「いいね!」ボタンのかわりに、ハートがあるんです。ハートボタンというのかな?

それも押せないんですよ。
パソコンだからかな? それとも、私のブラウザがグーグルクロームだからなんでしょうか。
たまにIEだと正常に機能する、ってサイトもあるので。


とにかく、漫画によってはページをめくるのが遅すぎるので、興味があっても読まない漫画もあります。

その点が改善されたらいいな、とは思ってます。

 

現在スマホユーザーの方が多い、ってのはわかります。

スマホで隙間時間に、って人がメインターゲットなのは当然かもしれませんが、家のパソコンで、ゆっくり読みたいって人のことも、考えたらいいのにと思います。

 

高橋克彦のおすすめ小説は、あやかしもの!

 

司馬遼太郎がきっかけで、戦国時代を大好きになりました。

そして、高橋克彦がきっかけで、平安時代を大好きになってしまった。

 

高橋克彦という作家は、有名なので当然知っていました。でもなんとなく、読む気がしなかったんです。何書いてる人なのか、よくわからなかったんですよ。ミステリなのか、歴史なのか、純文学なのか。

ただ今回、たまたま読んで、めちゃめちゃハマった!

高橋克彦の本を全部読みたいです。

何の関心もなかった作家なのに、来月には一番好きな作家のひとりになってるかもしれません。

自分をそこまで引き込んだ小説は、『弓削是雄全集 鬼』

これはもう絶版のようで、いまはかわりに文庫バージョンが出てます

 

この小説、すごくかわいいんです!

陰陽師の主人公 弓削是雄(ゆげの これお)はかっこいいし、ヒロイン役の子は魅力的で、出てくる鬼や霊はめちゃめちゃかわいらしい。

陰陽師かっこいい! と陰陽師になりたくなるくらいです。

歴史ものも妖怪ものも好きなので、楽しくてしょうがなかった。

一番好きなキャラクターは、髑髏鬼かな。

見た目はただの頭蓋骨。成仏できなかった霊です。

でもおしゃべりで、エロくて、ここぞというときには陰陽師の役に立つんですよ。そこがいいんです。

おしゃべりな頭蓋骨ってだけで、なんだかかわいいのに、仕事できるってとこがいい!

 

また意外にもすごく読みやすい。

全集版だと高いので、文庫版のリンクを張っておきますので、よかったらどうぞ。

 

 左から第1弾、第2弾、第3弾となっています。

全部で第5弾までありますので、平安と陰陽師の世界にどっぷり浸ることができます。

 

アマゾンで高橋克彦の本を数冊検索したところ、めちゃめちゃ高評価の本がごろごろありました。  

私はミステリは嫌いなので、この人の歴史ものを全部読みたいです。

ただデビュー作で、江戸川乱歩賞受賞作の『写楽殺人事件』は、現在32件のカスタマーレビューがついていて、評価が☆4,5という超高評価なんです。

 

高橋克彦さんは、美術館でもともと働いていたそうで、そういう造詣も大変深いそうです。そうなると、歴史ものだけでなく、ミステリも読んでみたいなあ。

 ただまずは歴史ものをどんどん読んでいきたいと思います。

次は『火怨 上 北の燿星アテルイ』という、8世紀を舞台にした歴史絵巻を読んでみます。

楽しみです。

 

 

 

直木賞受賞作『海の見える理髪店』感想

 

私は好きじゃなかったです。全然好みに合いませんでした。

表題作はよかったですね。面白かったです。

でもこの人の文章が嫌いなんですよ。合わないようです。

ネットで見ると評判はいいんですが、私には読みにくくってしょうがなかった。

 

またこの短編集って、家族に関するものが多いんです。そこも好きじゃなかったですね。

面白くなかった。

文学的素養がないし、あんまり頭がよくないせいなのかもしれませんが……。その可能性はもちろん高いです。

 

ただ、途中でちょっと景色が変わりましたね。
この作品を中盤まで読んで、「なにが面白いんだろう?」と思って、ネットで調べたんです。

すると、直木賞受賞作なので、様々な選評が出てきました。それを読むと、絶賛が多いんですよ。

たとえば直木賞の選考委員の、選評を載せているサイトがありました。

そこで宮部みゆきとか、いろんなひとが、すごく褒めてるんですよ。これいいよ! さすが! って。

 

じゃあ私の読み方が間違ってたのかも……と思い、それからは、と言ってももう後半でしたが、「しっかりと想像しよう」と意識して読んでみました。

そのせいか、「時のない時計」って小説は、ちょっとだけいいなと思いました。

時計屋さんの意地悪な店主が、なかなかいい味を出しているんじゃないでしょうか。

あと大好きなラジオドラマの『悲しみの時計少女』をちょっと思い出しましたね。

 

でも最後の作品、「成人式」はさっぱり理解できなかった。
これは非常に評価が高くて、表題作よりいい! という意見も多いので、どこか読み方が間違っていたのかもしれないんですが。

ただ自分にはさっぱりわからなかったです。

直木賞の選評を載せているこのサイトでは、宮部みゆきがこの成人式って短編いいよ! みたいなことを言ってます。言ってますが、全然わからなかった……。

 

文学作品でもそうですが、こういうエンタメ作品でも、わからんものはやっぱりわからんのですよね。

 

また桐野夏生さんは「いつか来た道」という短編がいちばん好き、と言ってますが、私はこれもさっぱりでした……。

 

読書を始めて、まだ十年たってないので、もしかしたら、将来読み返してみてわかる日が来るのかもしれません。ただ今回は全然でした。 

個人的には門井慶喜の『家康、江戸を建てる』の方が面白かったと思ったんです。

数年後か、もしくは来年かわかりませんが、また表題作の「海の見える理髪店」だけでも読み返してみたいと思います。また「成人式」って短編も。

自分が成長していて、そのとき理解できたらいいな……と思います。

 

映画『レイジング・ブル』感想。ラストの音楽が沁みる

 

レイジング・ブル』は最高の映画。大好きです。

二回目の視聴となりました。

ノンフィクションものの、ボクシング映画です。


この映画に出てくるジェイク・ラモッタは最低な野郎だし、見ていて怖い。まったく尊敬できません。

だけど、ものすごく魅力を感じてしまうんです。
いい映画はホント、どうしようもないやつを魅力的に感じさせます。

主人公が、本当にいい。

異常に嫉妬深くて、暴力的で、覚せい剤でもやってんのかってくらい疑心暗鬼。

でも、『レイジング・ブル』は、そんなラモッタを、めちゃくちゃ魅力的に描いています。

 

 

ちょっとしたシーンでも、ちょっとした会話でも、ラモッタがちゃんと描けているんです。

たとえば、ラモッタと弟のジョーイが、プールサイドで会話をします。

ラモッタはきれいな女性を見て、いいなと思う。その女性のことで、弟のジョーイと話します。

ジョーイ「やけにご執心だな 簡単には寝ないぜ」
ラモッタ「おれに気安い言い方はするな お前の仲間とは違う 時々 頭に来るぞ」
ジョーイ「とにかくすぐセックスはムリだ 手間ひまかけなきゃ」
ラモッタ「寝たのか?」
ジョーイ「いや」
ラモッタ「正直に言え」
ジョーイ「正直に言ったぜ くどく聞くな ウソついたってバレるだろ デートはしたがね」

ラモッタは弟が相手でもこんな感じ。

疑心暗鬼。とにかく嫉妬深い。

妻が対戦相手のボクサーについて、いい男だから倒せば人気がでるよ、と言います。

するとラモッタ、激怒。なんで褒めるんだと。俺というものがありながら……。

その晩、「セックスのときにほかの男について考えたか」と聞いてきます。

ラモッタ「ベッドのなかで アレしてる時さ」

妻「ないわ」
ラモッタ「なぜジェニロをほめた いい男と言ったろ」

妻「ろくに見たこともないわ」

ラモッタ「じゃあなぜ褒めた」

 

としつこい。こんな野郎です。

でも魅力を感じてしまう。

 

ラモッタに特に魅力を感じるのは、八百長の試合でとった、彼の行動のせいもあるかもしれません。

 

また愚かさに、愛しさを感じるせいかな。

違うかな。

この嫉妬深さを、とても人間的だな、動物的だなと思い、親近感がわくのか。

こんなシーンもあります。

弟のジョーイが出前を取るために、ラモッタとラモッタの妻に、何を食べる? と訊くシーン。たったそれだけのシーンですが……。

ジョーイ「君は何だ?」
妻「ケーキをひとつ」
ジョーイ「ただのケーキか チーズバーガーぐらい食え その方が体に」
妻「じゃ そうするわ」
ラモッタ「やけに素直だな」
妻「食べたいの」
ラモッタ「命令される事はない」
ジョーイ「勧めただけさ」
ラモッタ「あれは強制だ」
ジョーイ「彼女が何を食おうと俺は構わん」

 そんなことにもこんな風に怒るんです。

「こんな野郎に魅力なんて感じるか」と思うでしょうが、レイジング・ブル』を見れば、絶対にこんなラモッタを好きになってしまうと思います。

ボクシングの天才、ラモッタは、こんな野郎なのに、かっこいいんですよね。

 

主演はロバート・デ・ニーロ

監督はマーチン・スコセッシ

 

ロバート・デ・ニーロは、彼のボクサー時代とその後を表現するために、前者を鍛え上げた体で、後者をだぶだぶのだらしない肉体で表現しています。

演じるために、躰をそこまで変えたってだけですごいなあと思います。

 

監督のマーチン・スコセッシロバート・デ・ニーロとよくコンビを組んでいてタクシードライバーや喜劇作品『キング・オブ・コメディ』という映画も二人で作っています。

 

この映画の最後には、歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」の間奏曲が流れます。

これが沁みるんです……。

 

江戸時代の陸上交通とホテル、海上交通と船

陸上交通とホテル

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昔は、江戸・大阪・京都が三大大都会! 三都と呼ばれていて、そこを中心に、参勤交代とかのために、道路がごちゃごちゃぁーと作られた。

そのなかに超便利な道路があった。それが五街道。江戸をスタートして、三都をスムーズにつないでたから、めちゃめちゃ便利がられた。
当時は道中奉行って人が管理していた。

脇街道って道路も有名だった。

五街道は関東の道路だけど、脇街道は全国に広がっていた。

超有名! な五街道にはこんな名前がついていた。
東海道
中山道
甲州道中
日光道中
奥州道中


こういう道路とか脇街道とかが、ごちゃごちゃーとあって、陸上交通が便利になった。

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しかも、そういう道にはホテルがいっぱい! 当時はホテルを宿駅といった。

ホテルには、馬とか手配してくれるビジネスマンがいた。そういうビジネスマンを問屋といった。
またそのビジネスマンたちがタバコ吸ったりする部屋を、問屋場といった。

あとホテルには郵便局の支店がくっついてて、そこの郵便配達員たちは、継ぎ飛脚と呼ばれてた。

大名が利用する赤坂プリンスみたいな、一流ホテルを本陣・脇本陣といった。
庶民が利用するアパホテル的ホテルは、旅籠屋といった。


道路交通のルール

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関所ってのがあった。そこには、持ち物チェックするお巡りさんみたいのがいた。

東海道箱根・新居(神奈川・静岡)、中山道碓井木曽福島(群馬・長野)なんかに、関所があった。

今ではパトカー・救急車が最優先車両。

それと同じで、当時は幕府や大名が、パトカーみたいなもんで、最優先車両だった。

しかも庶民は幕府の人たちに、馬とか人を、ただ使わせてあげないといけなかった。
そのカツアゲ行為を、昔は伝馬役といった。


海上交通

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いま日本に入ってくるもののほとんどは、船で入ってくる。

当時も、大量の物資を運ぶのには、水上交通が便利がられてた。

いまでいう税金、当時は年貢米だったけど、これを運びやすくするために、大阪と江戸をメインに海上交通の整備が始まった。

なかでも、金持ちの家に生まれたお坊ちゃま・角倉了以がめちゃめちゃ整備した。
その金持ちパワーで、川をどんどん開削!
富士川高瀬川天竜川をアレンジして、荷物を運びやすい川にした。

そんな川たちで、17世紀前半(1601~)から、菱垣廻船っていう木の船が活躍。
そのあと18世紀前半(1701~)からは、酒樽を積み込んだ樽廻船が活躍して、19世以降は樽廻船がメインに。

もちろん海でも船は活躍。
海では、河村瑞賢っていう、もともと漬物屋をやってた人が、海上交通網の整備に貢献した。

この河村瑞賢は、明暦の大火って火事で、江戸が焼け野原になったとき、材木を買い占めて大金持ちになってた。

いまでいうと仮想通貨で一山当てて億稼いだ、みたいなやつ。

この河村瑞賢が、岩手-東京、山形-東京・大阪の海上交通網を整備した

陸奥-江戸間を東回り海運、出羽-大阪・江戸間を、西回り海運といった。

 

 

お米を炊くとふっくらする理由は、αデンプンになるから!

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ご飯を炊くと、お米がふっくらするのは、私は料理をしないせいもあって、「水を吸うからだろうな」くらいに思ってました。

ふつうそう思いませんか。
水を吸って、あったまるから、ふっくらほかほかになると。
でも全然違ってました。
ちゃんと化学変化が起こってるんです。

ご飯を炊くと、米の酵素が、デンプンの一部を分解し、糖分を作り出します

さらに、米のデンプン構造も変化しています。

デンプンって何?

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まずそもそもデンプンって何? ってなりますよね。

デンプンは、植物が光合成で作り出すものです。太陽エネルギーを、デンプンって形で、イネは貯蔵してるんです。

このデンプン、どんなものかっていうと、砂糖の仲間である、ブドウ糖がたくさん集まったもの。
難しい言い方をすると、ブドウ糖が連結して高分子化したものです。ブドウ糖の結晶、みたいなものですね。

このブドウ糖がたくさん集まったできたデンプンを、植物はたくさん蓄えたいですよね。だから、デンプンの分子を、きれいに整列させて、束にして貯蔵しているんです。

この、保存を考え、きれいに並べられたデンプンを、β‐デンプンといいます。

デンプンの変化

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β‐デンプンは、腐りにくくて、保存しやすいです。
でも密な結晶構造だから、硬いし、味気なく、消化もされにくいんです。

でもお米を炊くと、化学変化が起こり、このβ‐デンプンがα‐デンプンに変わります。

β‐デンプンの場合、60度くらいになると、分子と分子をつないでいる結合が緩みます。
そこに水が入り込みます。

さらに熱を加えると、β‐デンプンのつながりがどんどん、どんどん緩みます。

最終的には、デンプンの周りを水が取り囲む、緩いつながりになります。

かたーいつながりはβ‐デンプンと言いますが、このゆるーい集まりは、α‐デンプンといいます。
この変化を、デンプンの糊化とか、デンプンのアルファ化とかいうそうです。

このアルファ化されたデンプンは柔らかくて、水になじむし消化も簡単だそうです。また消化されるとだんだんブドウ糖に変わります。

デンプンの変化、まとめ

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生の米の断面を見ると、デンプンの塊がぎっしりですが、炊いた米の断面を見ると、デンプンの構造が変化、スポンジみたいにスカスカになっています。

つまり米を炊飯器で炊くと、ただ水を吸ってあったまるんじゃないんです。

1.米の酵素が、デンプンの一部を分解して、糖分を作っている
2.デンプンがぎっしりだったけど、炊飯することで、スポンジみたいにスカスカになる。
(β‐デンプンが、α‐デンプンに変化)

だから、ふっくらほかほかのご飯になるわけです。

 炊飯器メーカー

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ですので、炊飯器メーカーは、デンプンをちょうどいい具合にアルファ化するため、日夜頑張っているそうです。

基本的に、中のごはんを、高い火力で均等にアルファ化するすることが肝心なようです。
また圧力を加えて、沸点をあげて、100度以上の高温で炊き上げ、アルファ化を一気に促進しているそうです。

沸点が上がるから、圧力を加える炊飯器がいいってことなんですね。


すごいよ! NHK高校講座化学基礎! 炊飯器のことまでわかっちゃう!

化学になんて全く興味なかったけど、「へえ! 米を炊くってことにも、化学変化が起こってるのか!」ってなって、「化学って面白い!」ってなる!


面白い無料動画サイトはたくさんあって、たとえばTVerGyao!もそうですが、NHK高校講座もその中に入りますよ!

めちゃめちゃ面白い。

NHK高校講座化学の第1回を参考に執筆しました。

またグリコのたべもの辞典と

www.glico.com

福岡伸一さんが解説する

食コミュニティ>コラム>第九回 福岡 伸一

を参考にしました。

いやあ、化学って面白い。

田中慎弥「共喰い」「第三紀層の魚」感想

 

2011年度の芥川賞受賞作です。

二回読みました。
ちょっと難しかったことと、私の理解力不足で、最初は「退屈」「もっと頻繁に改行しろよ」と思いました。

ですがちょっと経って読み返してみると、超いい! 「共喰い」では特に、時間がよくわからなくなる……ってシーンが良かったです。

また第三紀層の魚」はかわいい小説でした!

一回目と二回目の感想を、あわせて書きたいと思います。

 

はじめて「共喰い」を読んだとき

このときはさっぱりわからず、眠気と戦いながらの読書となりました。

難しかった!
めちゃめちゃ読みにくかったです。

一文一文が長いし、ぜんぜん改行ないし……

引用するとこんな感じなんですよ。

「白焼の鰻や三人分のそうめんと一緒に琴子さんが座卓へ運んできた下ろし生姜が父に全部使われてしまわないうちに、遠馬は素早く箸で取ってめんつゆの中に溶く」

これで一文です。

「うわ……」ってなりませんか? 読みにくいよ。辛いよ。

この文に続けて、さらにこう続きます。

「焼いてある肝を指でつまんで口へ入れ、飴玉みたいに舌で転がしてから噛み砕き、呑み込んだ父は、皿に載った冷たい白焼の上に生姜を山盛りにし、そこへしょう油を注ぎ、鰻の身が見えなくなるくらいまで広げ、一切れを箸で持ち上げると、生姜がずり落ちないように一口で食べてしまう。」

なんだか「うわああああーー!」ってなっちゃいました。面倒くさいよ! 長いよ!

こんな文章だから読みにくいと思ったんです。

ただでさえ文学は苦手なので、この「共喰い」は、ハードカバー版ですらたった73ページなのに、5時間くらいかかったんじゃないかな。

 

よかったところ

そんな一回目でも、「いいなあ」って思うシーンがありました。
引用します。

 「さっき始まったばかりの新しい雨漏りの染みが木目とつながり、長く張り出す形で天井の色を変えている。」

やっぱり一文が長くてつらいですが、続きを読んでみてください。雨漏り、ってだけで、個人的には昭和のにおいを感じてなんだか「いいな」って思ってしまう。

「半日ほども天井を見つめていたかと思う時間が過ぎたあと、雨とは違う、泡が噴き出すのに似た水音がしたので庭を見る。

地面と雨が混じり合った泥が浅く渦を巻き、その中から、胴周りが大人の腕ほどある大きな鰻が一匹、胸鰭を植物の双葉のように広げ、頭をゆっくりと左右に振って出てくる。」

洪水になっているんです。
またこの文から2p半ほどして

「その雨と川との違いがなくなりかけている水の表面を、祭りの夜店で出す筈だった魚が逃げ出したのだろう、金魚の一団が流されている。」

それから数日たちます。すると

「この間まで川底にあったものは綺麗に押し流され、代わりにどこからか流されてきた、やはり折れたり曲がったり錆びたりしている自転車や傘やバケツが水面に顔を出し、蟹や船虫の棲家になり始めていた。」

ここは好きでした。

ただ、文学がただでさえ苦手な私には、いくらなんでも難しすぎました。

ちょっとだけ、面白かったかもしれませんが、正直に言えばぜんぜん分かりませんでした。
一回目は、もっと改行入れたり、「。」をいっぱい使えばいいのに! なんてぼやきながらの読書でした。

「共喰い」と「第三紀層の魚」っていう二つの話が入っているんですが、共喰いだけでギブアップ。

芥川賞受賞ということなので、素晴らしいところがたくさんあるんでしょうが、私には難しすぎてまだまだでした。

 

ですが、二回目は違いました。

二回目に読んだのは、一週間後くらいじゃなかったかな? 本当にすぐでした。

何で読み返したのかっていうと、「読んだけど、さっぱりわからない」って小説がほんと多かったからです。

また自分はつまらないと思ったけど、世間は面白いと言っている……。その秘密を知りたい! と思ったんです。

そこでネットで調べたところ、いくつか書評のようなものが出てきました。

それを読みましたがやっぱりよくわからなかった。
わかったのは、自分はつまらないと思ったけど、評価してる人は大勢いるってことでした。

 

二度目の挑戦。

読み方を変えてみました。

意識的に、しっかりと想像しながら読むってことをやったんです。

そうしたらすごく情景が浮かぶ。

国道でバスを降り、古い家屋や雑居ビルに挟まれた細い道を抜けると、幅が十メートルほどの川にぶつかる。流れに沿って歩いてゆく。潮が引いている。浅い水を透かして黄土色の川底が見える。形も大きさもまちまちの石、もし乗れたとしても永久に右に曲がることしか出来そうにない壊れた自転車、折れた骨をほほばしらのように水面から突き出している黒い傘、錆びてほとんど形がなくなっているのに朱色の持ち手だけは鮮やかなままのブリキのバケツ、板塀の切れ端、砂を呑み込んで膨らんだビニール袋、などが川を埋めている。鯔の子が塊になって泳いでいる。岸の泥には大きな蜘蛛の群れのように鳥の足跡が散らばり、嘴で餌を探したらしい部分には黒いへどろが見える。

いままでただ読んでました。でも想像するってことを意識して読むと、情景が細かくよく浮かびます。

ただ読んでも情景が浮かぶ小説が多いですが、これはこっちから近寄らないとダメだってことみたいでした。

話の筋をありありと覚えてたので、そういう意味では楽しさは減りましたが、以前読んだ作品とはまるで別物でした。

あと時間の感覚が曖昧になってしまう、ってところもよかったです。

不思議でもなさそうなことをそう感じたのは、濡れ縁の蝸牛を見てからいままで、いったい何日経ったのかよく分からないかららしかった。ほんの何時間かのことかもしれない。現に目の前には、まだ蝸牛が這っている。夢の中のことだったろうかと思ったが、アパートから降りてきたところで、川の向こうの仁子さんが遠馬の代わりに右腕で竿を抱え、上下をひっくり返し、リールのハンドルを左側に持ってき、それを反対に回して糸を巻き取る姿をはっきり見た記憶がある。

このあたり。
結構好きですね。

二作目の短編「第三紀層の魚」もよかった。
こっちは結構エンタメです。
主人公の男の子がけなげでかわいい子でした。

はじめは「共喰い」が難しかったので、どうせ分かりっこないと読まなかったんですが、いやあ、よかった。
エンタメとして楽しめましたよ。

こっちは「共喰い」と違って結構読みやすかったです。
「共喰い」のせいで読みやすい、読みにくいってのがマヒしてた可能性もありますが……。

第三紀層の魚」の最初は、「なんだ、介護の話かよ」なんてテンション低めで読みだしたんですが……、途中からめちゃめちゃ面白くなりました!

品のない釣り人と、主人公の少年の交流みたいなものがちょっと良かったです。

またお母さんのキャラもよかった。
ですが「共喰い」ほど、ガツンとは来なかったかな。
第三紀層の魚」がそういうタイプの話だから、しょうがないのかもしれませんが……。